第1章インストールと最初の起動
やること
Claude Codeはターミナル(Macなら「ターミナル.app」、Windowsなら PowerShell や WSL)で動くCLIツールです。導入は基本的に次の流れです。
- ターミナルを開く
- 公式の案内に従ってClaude Codeをインストールする(Node.jsが入っていればnpm経由が定番。最新のインストール方法は公式ドキュメントで確認してください)
- 作業したいフォルダに移動して
claudeと打って起動する - 初回はブラウザが開いてログイン認証。契約しているプラン(またはAPIキー)と紐づける
# 例: 作業フォルダに移動して起動 cd ~/my-project claude
起動したら、まず日本語で話しかけて大丈夫です。「このフォルダに何があるか教えて」と打ってみてください。フォルダの中身を読んで説明してくれたら、導入は成功です。
最初の3つの依頼(練習メニュー)
- 「このフォルダの構成を説明して」
- 「README.mdを作って。このフォルダの目的は◯◯です」
- 「さっき作ったREADME.mdに、使い方の章を追加して」
前の作業の続きを依頼できる、この会話の連続性こそがClaude Codeの本体だからです。
つまずきポイント
claudeコマンドが見つからない → インストール後にターミナルを開き直す。それでもダメならPATHの通し方を、そのままClaude(Web版でもOK)に「claudeコマンドが見つからない、OSは◯◯」と聞くのが最短です- どのフォルダで起動すればいいか分からない → 「Claude Codeに触ってほしいファイルが入っているフォルダ」が正解。迷ったら練習用に新しい空フォルダを作って始める
- 英語で返ってくる → 「日本語で答えて」と言えば切り替わります。恒久化は第2章のCLAUDE.mdで行います
第2章CLAUDE.md — 毎回読ませる「就業規則」を作る
なぜ必要か
Claude Codeは賢いですが、セッションを閉じると会話の前提を忘れます。毎回「日本語で」「このプロジェクトは◯◯で」「勝手にpushしないで」と言い直しているなら、それを全部 CLAUDE.md というファイルに書いてください。作業フォルダ直下に置いたCLAUDE.mdは、Claude Codeが毎セッション自動で読み込みます。つまり「入社時に渡す就業規則」です。
やること
作業フォルダ直下に CLAUDE.md を作り、次のテンプレを貼って自分用に書き換えます。
# CLAUDE.md — このプロジェクトのルール ## このプロジェクトは何か - (例)自社サイトのソースコード。公開中なので慎重に扱う ## 常に守ること - 回答・報告はすべて日本語 - 変更前に「方針・触るファイル・確認方法」を先に短く提示する - 私の許可なく git push / デプロイ / ファイル削除をしない - 分からないこと・判断が割れることは、推測で進めず私に聞く ## よく使う前提 - (例)本番URL: https://example.com - (例)テストは `npm test` で実行できる ## 完了の定義 - 実装した / 動作を確認した / 変更点と残リスクを報告した、の3点が揃って完了
書き方のコツ
- 禁止事項から書く。事故は「やってほしいこと」ではなく「やってほしくないこと」の抜けから起きます
- 1項目1行。長文の物語にしない。AIが読む文書は箇条書きが正義です
- 「毎回同じ指摘をしたら、その場でCLAUDE.mdに1行足す」を習慣にする。これがAI社員の教育です
つまずきポイント
- 書いたのに守らない → CLAUDE.mdが長すぎて埋もれているケースが大半。重要ルールは冒頭に、絵文字や「絶対」で目立たせる
- 家庭用ルールと仕事用ルールが混ざる → CLAUDE.mdはフォルダごとに置けます。プロジェクトごとに分けてください
第3章Skills — 手順書を渡して仕事の型を固定する
なぜ必要か
CLAUDE.mdが「就業規則」なら、Skillsは「業務マニュアル」です。「ブログ記事を書く時の手順」「請求書を作る時のフォーマット」のように、特定の仕事のやり方をSkillとして登録しておくと、依頼のたびに手順を説明しなくてよくなります。
やること
Skillは「SKILL.md というマークダウンの手順書を、決められたフォルダに置く」だけで作れます(配置場所の詳細は公式ドキュメントの Skills の項を確認してください。プロジェクト内の .claude/skills/ 配下に置く形が基本です)。
# SKILL.md の例: ブログ記事作成 ## いつ使うか 「記事を書いて」「ブログ化して」と言われた時 ## 手順 1. まずテーマについて私に3つ質問してから書き始める 2. 構成案(見出しだけ)を先に出して、OKをもらってから本文を書く 3. 本文は「結論→理由→具体例→まとめ」の順 4. 文体は「です・ます」。1文は60文字以内 5. 完成したら articles/YYYY-MM-DD_タイトル.md に保存する ## 禁止 - 事実確認できない数字を書かない - 保存先を勝手に変えない
Skills化の判断基準
次のどちらかに当てはまる仕事は、すぐSkillにしてください。
- 月2回以上やる仕事(繰り返すならマニュアル化の元が取れる)
- 手順を間違えると被害が出る仕事(納品物・公開物・お金まわり)
つまずきポイント
- Skillを作ったのに使ってくれない → 「いつ使うか」のトリガー条件が曖昧なことが多い。ユーザーが実際に言いそうな言葉(「記事にして」「図解して」)をそのまま書く
- 1つのSkillに詰め込みすぎ → 「1スキル1業務」。記事作成と画像作成は別Skillに分ける
第4章memory — 昨日の続きから働ける記憶を作る
なぜ必要か
CLAUDE.mdは「変わらないルール」、Skillsは「仕事の型」。最後に必要なのが日々更新される記憶です。「昨日どこまでやったか」「先週決めたことは何か」を残す場所がないと、AI社員は毎朝記憶喪失で出社してきます。
やること
もっとも簡単で強力なのが、作業ログをマークダウンで残す運用です。
- 作業フォルダに
memory/フォルダを作る - CLAUDE.mdに次のルールを足す
## 作業ログ(毎回必須) - セッション終了前に memory/YYYY-MM-DD.md へ本日の作業ログを書く - 書く内容: やったこと / 決めたこと / 次にやること / 未解決の問題 - セッション開始時は、まず memory/ の直近ファイルを読んでから作業する
- 毎回のセッションの最後に「今日のログをmemoryに残して」と言う(慣れてきたら言わなくても書くようになります)
これだけで、翌日「昨日の続きから」と言えば、Claude Codeが自分でログを読んで文脈を復元します。
記憶の3層構造(まとめ)
| 層 | ファイル | 役割 | 更新頻度 |
|---|---|---|---|
| ルール | CLAUDE.md | 変わらない就業規則 | 指摘のたびに1行 |
| 手順 | SKILL.md | 業務マニュアル | 業務が増えたら |
| 日次記憶 | memory/日付.md | 作業ログ・引き継ぎ | 毎日 |
つまずきポイント
- ログが長すぎて読むだけでコストがかかる → 「次にやること」「未解決」を必ず末尾に置き、開始時はそこだけ読ませる運用にする
- 何日も空くと文脈が切れる → 週1で「memory直近1週間を要約して、重要な決定だけCLAUDE.mdに昇格させて」と依頼する。これが記憶の定着です
第5章運用ルール — 事故らないための依頼・検証・報告の型
依頼テンプレ(コピペ用)
仕事を渡す時は、この型で渡すと精度が安定します。
【依頼】◯◯を作ってください 【背景】なぜ必要か(1〜2行) 【完成条件】これができていたらOK、という状態 【触ってよい範囲】このフォルダ/ファイルのみ 【やらないこと】push禁止・削除禁止 など 【最後に】変更点・確認した内容・残リスクを報告して
デバッグ依頼テンプレ(コピペ用)
【期待していた挙動】 【実際の挙動】 【再現手順】 【関連ログ・エラーメッセージ】 【触ってよい範囲】 【最後に確認してほしいこと】
納品前QAチェックリスト
Claude Codeの成果物を受け取る側(あなた)のチェックリストです。
- 完成条件を満たしているか、自分の目で確認した
- 変更されたファイルの一覧を報告させた
- 「動く」ことを実際に動かして確認した(AIの「動くはず」を信じない)
- 数字・URL・固有名詞に捏造がないか確認した
- 想定外に触られたファイルがないか確認した
運用の鉄則3つ
- 小さく渡す。「サイト全部作って」より「まずトップページの見出しだけ」。1回の依頼が小さいほど、レビューできる
- 同じ指摘は2回しない。2回目の指摘が出たら、その内容をCLAUDE.mdかSkillに書く
- 重要な操作は必ず人間が最終確認。公開・送信・削除・課金の4つはAIに独断させない
第6章AI社員化の入口 — 1人目のAI社員に何をやらせるか
最初の1人は「秘書」ではなく「専門職」
「なんでもやって」は失敗します。人間の新入社員と同じで、担当業務を1つに絞るのが立ち上げの鉄則です。
選び方の基準:
- あなたが毎週やっていて、手順を言語化できる仕事
- 失敗しても即死しない仕事(社外送信・お金以外)
- 成果物がファイルで残る仕事(記事・資料・コード・議事録整理など)
立ち上げ手順(この教科書の総復習)
- その業務専用のフォルダを作る
- CLAUDE.mdに「この社員の役割・ルール・禁止事項」を書く(第2章)
- 業務手順をSKILL.mdに書く(第3章)
- memory/ を作り、毎回作業ログを残させる(第4章)
- 依頼テンプレで仕事を渡し、QAチェックリストで検収する(第5章)
- 指摘のたびにCLAUDE.md/Skillを1行ずつ育てる
2週間これを回すと、明確に変化が出ます。依頼文が短くなり、手戻りが減り、「昨日の続きやっといて」が通じるようになる。それがAI社員が育っているということです。
その先にあるもの
1人目が回り始めたら、次は「部署化」です。記事担当・リサーチ担当・開発担当…と役割別のフォルダとルールを増やし、共通の記憶(会社のナレッジ)を持たせていく。ここから先は設計の世界で、Obsidianなどの「記憶の置き場」の設計が効いてきます(姉妹編「Obsidianの教科書」で扱っています)。
まずは今日、フォルダを1つ作り、CLAUDE.mdを1枚書くところから始めてください。それが、あなたの会社の1人目のAI社員の入社日です。
